澁澤龍彦著 『うつろ舟』 (河出文庫)
表題作など八編。

本書を読み終えて数ヶ月がたち、その記憶はすっかり霞んでしまっている。たしか、大人向けのお伽噺のような短編集だったと思う。ある日、どこからともなく女が現れ、男と交わって、ふたたび姿を消す。その女はいったい何者だったのか、あの肉体は、得られたはずの悦びは果たしてこの世のものだったのかどうか。そのすべてが判然とせぬまま男は途方に暮れ、女をさがしてさまよい歩くうちに行方知れずとなる。
仕事に疲れ、殺伐としたこの世にうんざりしているときに読んだので、よい息抜きになった。この世に確かなものなどありはしない。すべては虚ろ、幻想に過ぎないだ。
posted by Ken-U at 00:33|
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