*****

3月3日(火) 晴れ?
仮眠をとり、旅の支度をして、成田へ。空港ではあまり時間がなく、ちゃっちゃと茶漬けを掻き込んで早々に搭乗。パリ経由にて現地へと向かった。

現地着。心配した雨はない。ホテルの部屋に入るとバスタブ無しだとわかり、落胆。フロントに掛け合うが、すでに満室で部屋の変更は無理だという。ほんとか、と思いながらも引き下がり、荷をほどいて、散歩。すると噂のバイクシェアリングに遭遇する。こんなところにステーションが。おおっ、と感心。夕食は軽くパスタ。それにオリーヴオイルでズッキーニを軽く炒めました、みたいな皿を添えた。
*****

3月4日(水) 雨
会場へ。担当ブースは今回からオープンな造りに。しかも中央にはバーカウンターが設えられていて、不況の真っ只中にあえてこれをもってくるとは流石だなと思った。まずは皆で乾杯。スプマンテがそれはもううまいのなんの。で、マルティナの助けを借りて仕事の準備、終日業務。夕食は例のフリーランスと共に。割り勘。
*****
3月5日(木) 雨
終日業務。今回、エレナのかわりにスザンナが加わった。彼女はヴァレンシア出身のスペイン人で、イタリア語は話すが英語はまるで駄目である。背は175cmちかく、肌は白い。肉感的な体つきをしており、ナイスバディ枠での採用かなあなんて思う。でも声はガラガラ。彼女が仕事の合間にファッション誌を眺めているので、なにしてんのかなあなんて覗いてみると、モデルの顔、衣服に落書きを施している。中学以来の光景。視線があうなりゲラゲラ笑うスザンナはこれはこれで素敵だなと思った。
夜は同じく出張中の同僚に呼ばれ、現地の邦人とともに夕食。ここは御馳走になり、食べ過ぎで胸焼け。
*****
3月6日(金) 雨のち晴れ
引き続き業務。朝、スザンナが半ばすっぴんでやってくる。で、マルティナからメイク道具を借り、どこかへ消え、顔を整えてから復帰。呆れるマルティナ。
スザンナによるスペイン語レッスンもこの日で2日目。ふたりの共通語はないので、英語、イタリア語の単語レベルでやりとりをした。で、朝の事を訊くと、昨日、この仕事のあと、ディスコで朝までだったという。それも、ディスコティークでワーク、みたいなことを言うのでディスコでワークはないやろ、とやりとりしていると、実のところ、彼女はダンサーなのであった。なるほど、そういわれるとそういう感じがする。馬鹿な奴が集まるのでパーティーは嫌い、みたなことも言うのでそれは意外に感じたが、でもあれが職場だったらやっぱり辛いんだろうなあと思い直した。午後、眠そうにしているので、眠いの?って訊くと、スプマンテを冷やしているボウルの中に顔を突っ込む真似をして笑うスザンナ。

夕刻。少し早めに職場を離れ、市街へ移動。1時間ほどでちゃっちゃと歩き観る。人通りはそれなりにあるのだが、客入りのない暇そうな店が目立つ。不況の影。

夕食はピッツァ。前回、リニューアル工事中で閉店していた店に入ってみる。内装はそれほどかわりないが、経営がかわったのか、ピッツァがかつてとはまったくの別物。ふかふかの生地に不安がよぎったが、食べてみるとこれがなかなか。さくさく食べ終え、その後スーパーにてパセリを買い込み、ホテルの部屋で業務。終わったのは深夜2時前。疲弊。
*****
3月7日(土) 晴ときどき曇り
午前。ブース内でうろうろして、それから約束の書類を渡し、軽くミーティングをして、一段落。先方の社長と堅い握手をして、みなさんに挨拶。空腹のまま会場をあとにする。

午後、あわただしく移動。タクシーの中で居眠り。空港の窓から空を見あげる。
空港着。ホテルへの移動途中。ふと会社の携帯を紛失していることに気づき、慌てて自分の携帯からその携帯へ電話。ミラノでつかったタクシーの運転手が応答する。居眠りしている間にポケットからこぼれ落ちたようだ。で、必至のやりとりの末、まだ現地に残っている同僚のホテルに運んでもらえることになった。幸運。

夕刻。ホテルにて荷を解く。で、友人と合流。かつての取引先のマネージャーだった男とディナーの約束があり、その彼とも合流したのだが、ディナーは近くのアイリッシュパブだという。まあいいや、って感じで談笑。さらに、日本のバイヤーたくさん紹介してくれたら次はレストランだ、とか腑抜けたことをいう。奴は昔から思っていることをずけずけ言うパリの洗練とはほど遠い男である。頭にくることも多々あるが、なぜか憎めないキャラを持つ。
*****

3月8日(日) 雨のち曇り
終日業務。とはいえ、気は少し楽になっている。この街でもバイクシェアリングのステーションが目立った。実際、利用者も多いようで、街で走っている姿を多く見かけた。

パレ・ロワイヤル脇でライヴ。ビバルディを演奏していてちょっと粋な感じ。
夕刻、パリに移住した友人夫婦宅におじゃまする。彼女はまだフランス語が駄目で、そのせいで少しホームシック気味にみえた。日本語の会話を楽しみつつ、しゃぶしゃぶを御馳走になる。
*****

3月9日(月) 曇り時々晴れ、時々雨
半日業務。疲弊。で、4時頃からリサーチと称してウィンドウショッピングに。レクレルールでストール、マルジェラでカーディガンを購入する。

昼、カフェにてサラダのランチ。白ワインも美味であった。

夕刻、ホテルに戻る途中、カフェの中を覗くと衝撃が走る。フランス人が真面目な顔して囲碁を打っているではないか。その隣のテーブルでも若い男女が囲碁をしている。日本ブームもここまできたかとびっくり。
夜。前から気になっていたホテル近くにあるレストランに入る。バーカウンターつきの店内はこじんまりしていてひとりでも心地よい。いい店をみつけた。
*****

3月10日(火) 曇り時々晴れ、時々雨
日中は自由。午前はルーブルでも、と思っていたのに火曜日は休館日だと知り、落胆。とくに代替策もなく、ふらふらとコンコルド方面に向かって歩く。コンコルド付近に来るといつも不穏な印象を受けるのはなぜだろう。

なんとはなしにモード系の美術館(というか博物館)に足を運ぶ。19世紀のドレスに関する企画展が開催中であった。いろいろなコルセットがみられた。

その後、めずらしくシャンゼリゼを歩く。と、オレンジ色の服に身を包んだ男が寝転がっている。みると、本気で眠っている。通りすがりの美女も笑いながら彼を覗き込むのだった。

ウォーホルの企画展かなにかをやっているようだ。19世紀の服飾から20世紀のポップまで。この旅では近代を回顧するパリを感じた。いよいよ時代が終わるのだろうか。

Arthur Hのポスターを発見し、思わずシャッターを切る。懐かしい。
土産を買い込み、きんたろうで親子丼を食べてから空港へ。で、空港でまたもやミスを犯す。自分用に買ったオリーヴオイル、バルサミコを機内に持ち込もうとしたのである。もちろん液体は持ち込み禁止なのでその場で没収。落胆、ただ落胆。
*****

3月11日(水) 曇り
成田着。バスにてTCATへ向かう。
ミラノもパリも不況。ミラノではフランス語できないおやじが「C'est la vie」だなんて割り切って飄々としていたが、パリはどちらかというと不機嫌にみえた。この状況下、海外出張もこれからどうなることやら。実際、1月末の出張も却下されたのだし。この業界でも、とくに外資系では営業職を中心に大規模な首切りが行われている。転職どころではないのかなあ。
*****
3月13日 (金) ?
代休の金曜。目が覚めるともう夕方4時であった。でまた落胆。大切な1日を無駄にしてしまった。なんてもったいないことをしてしまったのだろう。で、気持ちを切り替えてCLの観戦三昧してまた眠りこけたり。
*****
憶えたスペイン語:『Hace frío』、『Hace calor』他
機内で観た映画: 『Quantum of Solace』
読了した本: 『正直じゃいけん』
読みかけた本: 『犬の記憶』
***
まだ記録できていないいろいろ(CDを除く)
・『悲夢』
・『上海』
・CD x 6枚