2009年04月25日

「Yesterdays」 共鳴する響き、揺れるジャズ

KEITH JARRETT, GARY PEACOCK, JACK DEJOHNETTE / 『Yesterdays』 (ECM)

yesterdays.jpg約一年半ぶりに発表されたキース・ジャレットの、いわゆるスタンダード・トリオの新作。前作の『MY FOOLISH HEART』(過去記事)に較べると、よい意味でリラックスした、ややゆるりとした演奏が続く。それはきっと、舞台の性格の違い、前作はパリ、本作は東京が舞台であることとなにかしらの関係があるのだろう。奏者と観客の関係は、奏者同士の関係と同じように多大な影響を即興演奏に及ぼす。そこには様々な視線、熱気、呼吸があり、それらの要素が複雑に絡み合うことでその舞台独特の空気が醸し出される。個々をつなぐ糸がジャズを共鳴させ、その波動が空間に広がりを与え、奏者は、その響く時空の中を泳ぎながら、スウィングしたり、歌ったりするのである。

少し前に、『MY FOOLISH HEART』をとあるデザイナーに貸してあげたら、彼女は、いかにもジャズの型にはまった音ですねえ、と返した。彼女はまだ解っていない。どちらかというと、型にはまっているのは、ジャズならフリージャズ、あとはエレクトロニカという彼女の意識の方なのだ。前にも書いたけれど、あえてスタンダードの枠をつかいながら、そこから離れていくときの、また戻るときの感覚がよいのだ。その枠をまたいでこそ得られる快感がこの世には存在する。


posted by Ken-U at 16:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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