2009年05月17日

「無意識の不安」 記憶の闇、その視覚化と癒し

塩田千春 『無意識の不安』 (椿会展2009 Trans-Figurative / 資生堂ギャラリー)

shiota_trans_figurative01.jpgギャラリーの奥、黒の毛糸が張り巡らされた一角があり、それが塩田千春の作品であるとすぐにわかる。そしてその張り巡らされた黒い糸の向こう側には、古いミシンと椅子が据えられているのがみえる。記憶の闇。彼女の作品には、無意識の奥底に眠る記憶の断片が投射されているのだと思う。その記憶は暗いものばかりに感じられるけれど、しかし不思議とその作品から陰惨な印象を受けることはない。むしろ、黒い癒し系というか、彼女の作品と向かい合うとなにか安心するというか、どこかほっとするなにかが感じられる。扱われるモチーフは、今回のミシンのほかには服、ピアノ、靴などがあり、それらはおそらく極私的な経験にもとづくオブジェクトだと思うけれど、同時にある種の普遍性を感じとることもできる。その、極私的な領域を外に開いていく力が彼女の作品には溢れている。今後も、彼女の作品は欠かさず観ていきたい。


posted by Ken-U at 19:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。