原題:『WHATEVER WORKS』
絶望した男は死のうとするが、果たせず、七転八倒する。

しかし、救いは知性の外側からもたらされた。男は、偶然の出会いと、その連鎖がもたらす摩訶不思議な幸福にひたりながら、宇宙が知性を超えた高次元の成り立ちをしているというこの世の秘密(過去記事)に気づく。だから、なんでもあり。人は、心をあらゆる拘束から解き放って、知を棄て、目の前にある悦びをあるがままに受け入れなければらない。
やはり、ウディ・アレンはNYなのかなと思った。ここ最近では最高の出来、素敵な作品である。笑いどころが随所に散りばめられていて、ほろ苦く、しんみりする場面もあって、でも劇場を出るときには世界が少しキラキラと感じられる。そして知覚の外に広がる宇宙について、不意にもたらされる幸福について、生きる悦びについて、想いを巡らせた。幸福とは、掴めるものなのだろうか。