それぞれの東京。
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ミシェル・ゴンドリー監督 『インテリア・デザイン』
台詞まわしに違和感があり、なかなか作品世界に入ることができなかった。外国人監督が日本語で撮るからこうなるのかもしれない、などと思いながらスクリーンを眺めた。若くて貧しい日本の男女がぺらぺらと言葉を交わしている。男の子は自分のナイーヴさをあからさまに振り撒く。
とはいえ、よい作品だと思う。時間が進むにつれて話が面白くなっていった。あくまでも女の子が主役である点がよかった。彼女にとってあの結末は悲劇的だといえるのだけれど、彼女自身はその不条理な運命を自然に受け留め、むしろそこに充実を感じている。その様子の滑稽さが、彼女に降りかかった運命の哀しみに深みを与えていると思う。
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レオス・カラックス監督 『メルド』

メルドに対する人々の反応に日本社会の今を見た。メルドを嫌悪し、彼をこの世から消し去ろうとする大多数の人々にまぎれて、彼を擁護したり、過大に崇めたり、あるいは彼にあやかって金儲けをしようとしたり、メルドに翻弄され、過剰に反応し右往左往する人々の在り様ひとつひとつに妙なリアリティーが感じられ、この世はまさに「MERDE」であると痛感。糞食らえ。
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ポン・ジュノ監督 『シェイキング東京』
この社会が引きこもり的であることは日々痛感するところであるのだが、本作では、その引きこもり体質を凝縮したような男が主人公で、彼が女と出会い、部屋を出るまでの話が描かれている。そして、地震がくる。
精神の歪みと、地底の怒り。破壊、破滅。という点は『メルド』と通じるところがあるように思われる。外から眺めると、東京は破滅的というか自滅的というか、先行き暗い都市にみえるのかもしれない。実際、中に身を置いていてもそれを感じる。
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過大な期待はしないようにしていたのだけれど、小粒ながらどれもよい作品に仕上がっていて、予想より面白く観ることができた。よい意味で裏切られてよかった。とくに『メルド』には影響された。街を歩いていると、不意にあの歩き方、喋り方を真似したくなる。彼は現代のゴジラだと思う。
秋が来て、また一つ歳をとり・・・。ご無沙汰です。
さて本作ですが、自分は『メルド』がとことんダメだったんですよ。
貴記事を読んで、それって自分が強姦「される」側だからなのかな、と思いました。
これって無自覚すぎる勘違いでしょうか(笑)。
ではでは、また来ますね。
秋(になる少し前に)、ひとつ歳をとりました。
『メルド』が駄目っていうのもわかる気がします。ただ、それを男女の対立軸で考えてほしくはないんですけどね。ちなみに、ここでぼくがつかった「強姦」という言葉と男女の性差は無関係です。でも、『メルド』の支持者は男性が多い、という真紅さんの見方はわからなくもないですよ。ぼくの場合、この作品に満たされているカラックスのユーモアに痺れたんだと思います。
ではまた。