2009年02月11日

「俺はまだ本気出してないだけ」 肥大化する自我、その脆弱性

青野春秋著 『俺はまだ本気出してないだけ(1-2巻)』 (IKKI COMICS)

そろそろ本気を出してやる。

ore_wa_mada.jpg四十路を迎えた「俺」は、駄目な自分に向き合えず、また会社を辞め、そろそろ本気を出そうと思い立って、漫画家を目指す。「俺」は奮闘する。

そんな「俺」の奮闘ぶりが滑稽に描かれていく。でも結局のところ、等身大の自分自身に向き合えない彼は、いつまでたっても駄目人間から抜け出すことができない。彼は一向に結果を出せず、悶々とのたうちまわり続けるのである。そしてそのあげく、小手先でこねくり回して自分の作品をますます劣化させていく。「俺」は、厳しい現実から目をそらそうともがく。ゲームやら、近所の子供たちとの野球遊びやらに興じる。いつまでも逃げ続ける。

この腑抜けた中年男の周囲にいろいろな人たちが配置されていて、腑抜けとの関係の中でこの作品に奥行きを与えている。父親、娘、バイト先で知り合った青年など、彼らはみなどこかしら味わいがあり、読み進めていて、それぞれいろんなものを抱えて暮らしているんだよなあ、なんてしみじみした。彼らが見守る中、あの腑抜けはこれからどうしていくのだろう。転落はまだ続くのだろうか。

漫画を読むのは約30年ぶり。面白いよ、といって友人が貸してくれた。で、借りたその晩に2冊とも読み終えてしまった。たしかに面白かったけれど、なぜだかほろ苦い余韻が残った。


posted by Ken-U at 23:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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