2009年05月04日

「正直じゃいけん」 愛の炸裂、自己と他者の溶解

町田康著 『正直じゃいけん』 (ハルキ文庫)

ルール:負けたものが勝者になる

s_jaiken.jpg初春、旅のともにと思い購入した。このエッセイ集には、これまで読んだ町田康のほかのエッセイと同じように、彼自身の日常、あるいは周囲で起きる諸々の出来事に対する彼の態度、思考、妄想などが面白おかしく綴られている。飛行機の中で、序盤からうくくと笑いを噛み殺したりと楽しみながら読み進めた。

しかし、ゆるゆると読み流すことができなかったのが「愛の炸裂」の部分。ここには、町田康が想いを入れる他の作家やその著作に寄せた文章が収められている。とくに、中島らもに関する文章には町田康の強い想い、深い愛が溢れていて、よく知りもしない中島らものことや彼と町田康の関係などについて空想したり、ふと気づくとそれとはまったく関係のない人生のいろいろ、この世の成り立ちについて妄想を膨らませたりと時空を超えた。

他者について語ることは自己を語ることに等しいと思う。とくに、想い入れの強い人、物事について語るときにその傾向は顕著となる。愛の炸裂の中で、内部と外部の境界が溶け、両者があやふやに混じり合ってしまうのだろう。これ以降、他人やいろいろな物事に対してどれだけ深く想い入れができるだろう、愛は炸裂するのだろうか、などと想いを巡らせてるうちに、降下、着陸。


posted by Ken-U at 17:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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