2009年05月24日

「ウェディング・ベルを鳴らせ!」 めぐる命、結ばれる男と女

エミール・クストリッツァ監督 『ウェディング・ベルを鳴らせ!』 (シネマライズ渋谷)

原題:『ZAVET』

この宇宙はぐるぐる回りつづける。

zavet00.jpgすべてがぐるぐる、ごろごろと回り転がりながら、それでも迷いなくハッピーエンドへ雪崩れ込む展開にわくわくした。その様子はさながらサーカスのようで、連続するアクロバティックな光景にこころ躍った。皆が、笑ったり、歌ったり、泣いたり、怒ってみせたりして、そのうえ回転したり、宙吊りになったり落っこちたりでもう愉快なのだ。無数の弾丸が飛び交い人々の命が危機に陥る場面もあるのだけれど、しかしその雨あられの如き弾丸は彼らを避けるように飛ぶのである。ファンタジーの世界。ここで未来は保証されているのだと知れ、安堵して皆の行方を見守ることができた。

この作品は主題として世代交代を扱っている。しかも、その世代交代は価値観の大きな転換を伴なっているようにみえる。それは序盤に描かれる、祖父が国歌に涙する姿と、孫が女性の裸体を覗きみながらへらへらする姿の対比に如実に顕れている。あるいは、それはそそり立つ塔が折られ倒される光景、さらには男根が切り取られるという直接的なシークエンスの中に描き込まれている。つまり、ここでは男性優位主義的な価値観(しかもそれはアメリカと強く結び付けられている)がことごとく破壊されているのだ。そうした価値観の移行がどたばたとおこなわれる中、男と女が恋に落ちて、交わり結ばれてゆく。愛の炸裂。鐘が鳴り響き、無数の銃声が音楽へと変わり、すべてを歓喜に包み込む。この未来はファンタジーの中に。
posted by Ken-U at 18:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画(その他の国) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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