2006年01月25日

「驟雨」 紙風船のような

shower02.jpg成瀬巳喜男監督の『驟雨』を鑑賞。

結婚して4年目、亮太郎と文子は倦怠期に陥っている。交わされる言葉は干乾びてしまっていて、ときに刺々しくも感じられる。

日曜日が忌まわしい。ついに亮太郎は居たたまれなくなり、日曜は嫌いだと文子に吐き捨て、ふらりと家を出る。

成瀬作品としては珍しく、喜劇的な小品としてまとめられている。背景に流れるピアノの旋律に乗せて、日常のスケッチが描かれていく。
田舎から東京に出てきた男が会社員となり、結婚して、新興住宅地にささやかな家を持ち、仕事で胃を悪くしながらも満員電車に揺られて自宅と会社を往復する。妻は家に縛られ、夫の自尊心ための犠牲となる。そして反逆する。夫婦間のいざこざを通しながら、戦後日本社会の影の部分がさりげなく描かれている。

夫婦を結ぶ絆とは、脆くてふわふわとした紙風船のようなものなのだろう。ラストはいかにも軽妙な喜劇らしく、ハッピーエンドであるかのように結ばれている。しかし気持ちが晴々とするわけではなく、複雑な心持ちが余韻として残される。そこに演出の妙味が感じられる。


posted by Ken-U at 15:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画(成瀬巳喜男) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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