2009年11月01日

夏の十字架、秋の十字架

ラフィータフィー

left: 『夏の十字架』 / right: 『秋の十字架』 (Swim Records)

忌野清志郎のバンド、ラフィータフィーの二枚。

two_crosses.JPG業界への怒り、世間に対する違和感を爆発させながら、彼は、その熱を原動力に大人のロックを炸裂させる。ひさしぶりにバンドサウンドを聴いたけれど、熟成が進んでいるからなのだろうか、どちらかというと、あとにリリースされた『秋の十字架』を繰り返し聴いた。

恐いもの知らずの若者が勢いでがなりたてるのでもなく、ナイーヴに夢物語を歌うのでもない。かといって達観したふりをして世間を上から見下ろすような真似をするでもなく、むしろ娑婆で泥まみれになりながら、その悲哀を悲哀のままにせず、熱に転換させ、ソウルのこもったロックにして、ギターを掻きむしりシャウトする。ブルージーなロック。おそらく、これが彼の目指した大人のロックなのだろう。

映画『不確かなメロディー』(過去記事)が思い出される。あの中で印象に残っている清志郎の言葉のひとつに、ソロで音楽をつくっても音を完成させることはできない、という彼の音づくりに対する考え方があるのだけれど、この二枚のアルバムを聴いてみて、バンドサウンドの不思議についてあらためて考えさせられた。旅をしながら、みんなで音を出し合って、紡ぎ、熟成させてゆく。そうしてグルーヴが生み出される。その波動が関わる人々を幸せにする。当時、彼が過去にすがることなく、かっこ悪いこともなにもかも引き受けて、それを新しい音楽に向かうための転機と捉え直して突き進むんだことも含め、これらのアルバムから学ぶことは多い。たしかに、この世界で生きることは必ずしもかっこよいことではないし、むしろかっこ悪い、というか、ある種の気まずさがつきまとうものだと思う。そんな無様で滑稽な世の中であっても、命ある限り、大切な物事を大切にして生きていきたい。


posted by Ken-U at 23:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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