2009年11月14日

「アロイーズ展」 無垢の楽園、虚しき官能と死

『アロイーズ展』 (ワタリウム美術館)

アロイーズは31歳で精神を患い、その後の46年間を病院内で過ごす。

aloise.jpg静かな盛り上がりをみせるアウトサイダー・アート。あらゆる創造の領域が経済に食い荒らされているこの世界で、真に創造的な芸術を探し求めようとするとここに行き着くのかもしれない。

統合失調症(精神分裂症)を患ったアロイーズは、以後、78歳で亡くなるまで入院生活を強いられる。そこで彼女は、誰に勧められるでもなく絵を描き続けた。最初は包装紙の裏などをつかって描いていたが、彼女の作品に注目する医者、学者などがあらわれ始めると、創作のためにノートや色鉛筆などが与えられるようになり、アロイーズは創作の幅を広げてゆく。

彼女の作品群を眺める中でいろいろなことを感じたけれど、もう細かいことは憶えていない。ただ、いまも印象に残るのは、ピンクや淡いブルーを配置した温かな色づかいと、男女が交わす抱擁や接吻、そして青く塗りつぶされ表情を奪われた架空の人々の姿で、そこに彼女が死ぬまで想い続けたであろう楽園のきらびやかさと切なさを感じた。

晩年。アロイーズの作品に対する評価が高まるにつれ、周囲の期待も増し、作業療法士が付き添い彼女に助言を与えるようになる。すると彼女は衰弱しはじめ、翌年、ついにこの世を去ってしまった。この人生の結末には創造の儚さが凝縮されているように思えるけれど、わたしは彼女の生涯から、作品から、アウトサイダー・アートから何を学ぶことができるのだろう。


posted by Ken-U at 18:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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