
ホットなカレーにソウルフルな音楽。魂を揺さぶる良心的な店だと思う。そんなある晩、店内に鳴り響いていたのがこの『ROCKS THE HOUS』だった。その頃は、清志郎のことがあり、ほかにもパティ・スミスやニック・ケイヴ、ジム・モリソンなどのヴォーカルに触れる機会もあって、なんというのだろう、体がソウルを求めていたというか、そんなときにエタ・ジェイムズの声に触れて、すっかり痺れてしまったのだ。で、会計のとき、バイトの女の子にアルバム名をメモしてもらい、それをポケットに入れて帰った。
本作におけるエタ・ジェイムズの声は、ライヴ感に溢れている。というか、これは実際のところライヴアルバムなのだけれど、ここで彼女は生録音であること以上に生々しい、生命力に溢れる声を響かせている。たぶん背景にゴスペルがあるのだろう、バックも彼女の情熱を煽るが如く熱の籠もった音を鳴らしており、とくにDavid T. Walkerのブルージーなギターの響きに痺れる。歌とはある種の祈りなのだと感じることのできる一枚。