2009年12月31日

「ドリーム・オブ・ライフ」 死の闇を乗り越え、歌う

スティーヴン・セブリング監督 『パティ・スミス:ドリーム・オブ・ライフ』 (シアターN渋谷)

原題:『PATTI SMITH: DREAM OF LIFE』

patti_smith_dream_of_life.jpg断片化した過去の記憶が、かけらのまま繋ぎ合わされ、ひとつの映画となる。モノクロームの映像と、即興でのせたというナレーション、流れる音楽、叫び。ひたりながら、パティ・スミスの11年間に思いを馳せ、そして、これまで出会った人たち、もうこの世にいない人たちとの思い出などが脳裏を巡った。

10代の頃、ニューヨーク・パンクを追体験しているときに、パティー・スミスの歌に出会った。霊媒師の如き声、音楽を超えんとする歌。彼女の作品には近づきがたい凄みがあり、アルバムをターンテーブルにのせ、そこに針を落とすにも心構えが必要だった。そういえば、昔は、音楽を聴くことは今よりもずっと儀式的であった気がする。

過去の存在であったパティ・スミスにも、現在がある。というあたりまえのことを、この『ドリーム・オブ・ライフ』を通じて感じた。大切な人たちの死。そうした負の経験をきっかけに音楽界に復帰し、ふたたび歌い始める彼女の姿、貫かれるその真摯な姿勢に心を揺さぶられた。やはり、歌とは祈りなのだ。激しく、でもしなやかに、歌い、叫び、あるときはキャンバスに絵の具をぶつける自在な魂。その在り方に、名の有り無し、才の有り無しに関わらず大切にすべきものがこの世にはある、と思いをあらたにした。
posted by Ken-U at 16:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画(USA) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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