2010年01月07日

「権現の踊り子」 この世の歪みに足を取られて

町田康著 『権現の踊り子』 (講談社文庫)

短編集。表題作を含め、七編。

gongen.jpgこの世のゆがみに足を取られ、男は七転八倒する。もがき、苦しむ。なぜ俺ばかりが。当て所なき問いを呪詛の如く繰り返すうちに曇天、意識が遠のいてゆく。

話の筋が荒唐無稽で、そのうえ超現実的な場面に度たび出くわすにもかかわらず、ふと気づくと小説の中の男たちに我が身を重ねている。滑稽でありながら、悲惨で、切なくなるというか、この世に生きることの泣き笑いが複雑に交差しながら脳内をめぐる。

とくに印象に残っている場面は、「工夫の減さん」の中で、白昼、二日酔いの男が布団に包まりもぞもぞするところで、どんな体勢をとろうが己の苦しみを取り払えるわけでもないのに、その呪わしい現実から目を逸らせて気を紛らわそうと、ああでもない、こうでもない、と寝返りのたうちまわるのだけれども、その男の無様で滑稽な様子に己の生き様を見た。

町田康の小説を読むたびに、この世が滑稽で哀しい成り立ちをしていることを再発見する。追い討ちをかけるように、たしかにこんなんだよなあ、と思う。で、しばらくするとまた次を読みたくなるのだ。わたしは彼の小説にいったいなにを求めているのだろう。


posted by Ken-U at 22:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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