2010年04月29日

「エレメント」 自然と建築、詩と音楽が繋ぐ

cecil_balmond.jpg

『「エレメント」構造デザイナー セシル・バルモンドの世界』
(東京オペラシティアートギャラリー)

『四角いデカルト的な世界は、限定された空間である。私たちは、その中に住みその空間を使っている。しかし一方で、私たちは、幾何学をほかの方法でとらえることを知っている。私は、形のなかに生き生きとした感覚を取り戻したいと思っている。ギリシャのように、哲学的な基礎に支えられた、生きた有機体のように。』(ハンドブックより)

構造デザイナー、と聞いてもぴんとこなくて、ただ好奇心の赴くままに会場に足を運んだのだけれど、展示室内は不思議と居心地がよく、なぜか癒される雰囲気もあって、理解のレベルを超えて楽しむことができた。

まず、画やテクストがプリントされたスクリーンがいくつも天井から垂らされ、それらが迷路のような空間をかたちづくっているエリアがあって、その森のような迷路を抜けると、様々な幾何学の係数が散りばめられたオブジェクトが視界に入り、さらにその先、靴を脱いで進むと、薄暗く広い室内にいくつかの巨大な造形物、映像がなどが配置されていて、様々なイメージで刺激された挙句に心が解放され、室内なのに、夜の野原に身を置いているような不思議な感覚を抱かされる。遠くには山の稜線が見え、そばには岩が横たわっていて、空には星が瞬いている、ような気がする。実際、床に腰を下ろして虚空を眺める人もちらほら。

自然を見つめ、イメージを掴みながら、それを幾何学のフィルターに通して新たな形を生み出す。建築とは、人間が行う反自然的な行為であると思うのだけれど、おそらくセシル・バルモンドは、詩や音楽の力を借りながら、相反するはずの自然と建築を新たな思考、手法により繋ぎ直そうとしているのだろう。

不思議なことに、展示物を眺めていてふと折形教室(過去記事)のことを思い浮かべた。折形とセシル・バルモンド、スケールに大きな違いはあるけれど、互いの思考には何か通じるものがあるのかもしれない。
posted by Ken-U at 18:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。