(東京都現代美術館)
過去のアーカイヴといくつかのビデオ作品など。

モダンな服づくりという表層の下に、西洋の洗練とは相反する、野性的な、民族的な要素が籠められている。最新のテクノロジーを媒介として、そうした異教的な要素を西洋的デザインのなかに侵入させること。それが服づくりにおけるフセイン・チャラヤンの主要なテーマなのかもしれない。おそらく、彼の横断的なデザインの背景には、キプロス島の生まれであるという彼の出自も影響しているのだと思う。私的には、とくに2007S/Sの、自律的に変態するドレスのコレクションに魅了された。服が、自ら生地を縮ませ、それを纏う女性の身体を露わにしていくのだ。そして最後のドレスは、服地がすべて頭上に収束し、無防備な美女を全裸にする。背景で鳴るトライヴァルな音楽の効果もあり、その様子がとても艶かしく感じられた。洗練された野蛮、とでもいえばいいのだろうか。
Hussein Chalayan 2007S/S (link)