2006年05月24日

五次元空間というワンダーランドへ

BS特集・未来への提言
『理論物理学者 リサ・ランドール 〜異次元を語る〜』

この世界の向こう側には五次元の空間が広がっている。ただ残念なことに、人類はこの異次元の世界を知覚することができない。だからその規模を観測することもできないのだ。しかし、確実に五次元の空間は存在している。我々が暮らすこの世界(三次元空間+時間)は高次元空間の一部分に過ぎないのだ。

lisa_randall02.jpg1999年、理論物理学者であるリサ・ランドール博士(ハーバード大)は、五次元空間の存在を示す方程式を導き出すことに成功し、世界の物理学者たちに大きな衝撃を与えた。彼女の理論は従来の宇宙に対する概念をも覆すものであったのだ。以来、その方程式は理論物理学の様々な論文に引用されているという。

彼女によると、五次元の空間がどのようなものなのか、それを口頭で説明することも、絵に描いてみせることも不可能だけれども、この世界を五次元だと仮定したときに、三次元空間はその中に垂らされた膜のようなものとしてイメージされるという。しかも、その膜(三次元空間)は並行して幾つも存在している。つまり、この宇宙と同じような空間が複数個存在しているのだ。さらに、その複数の宇宙間では重力エネルギーがやりとりされているのだという。彼女の話を聞いていると、五次元空間とは宇宙の曼荼羅(あるいはマトリックス)のようなものなのではないか、という気がしてくる。先日読んだ、『芸術人類学』(過去記事)の「マトリックスの論理学」を再読してそのイメージを絡めてみたくなった。

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リサ・ランドール博士がまだ少女の頃、『不思議の国のアリス』に夢中になったというエピソードが披露され、それがとても興味深く感じられた(ちょっとデキ過ぎな感もあるけど)。彼女はウサギではなく、数学の持つ魔力に導かれて宇宙の抜け穴に辿り着き、五次元空間というワンダーランドを冒険するようになったのだ(その冒険の内容を記した著書『WARPED PASSAGES』は邦訳される予定があるらしい)。

人類はこの宇宙の4%しか把握することができておらず、残りの96%はダーク・マター、ダーク・エネルギーと呼ばれ、未だその成り立ちが解明されてはいない(そのダーク・マター、ダーク・エネルギーが五次元空間そのものであるという説もあるようだ)。その超越的空間の仕組みを明らかにしようとする理論物理学者の姿は、脳の無意識の領域を解明しようとする脳科学者の姿ととてもよく似ている。人間の内的宇宙(脳の世界)にしろ、外側に広がる宇宙空間にしろ、その”向こう側”には超越的な何かが存在しており、その力が我々に大きな影響を与えているのかもしれない。そんな妄想がもやもやと湧き上がってしまう。

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来年には、五次元空間を間接的に観測するための実験も行われるという。その結果がどのようなものになるのか興味津々ではある。でも、またなにか善からぬ”副産物”が出てきたりはしないだろうか。それを考えると少し暗い気持ちにもなってしまう。科学は難しい問題をいろいろと抱えこんでいる。


posted by Ken-U at 00:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 美術など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ああー、これ、もう放送されちゃったんですね。
アルバイトでこの翻訳にかかわり、大変しんどい思いをしました。それだけに見たかったです。わかってくると、内容は非常に興味深かったです。リサ博士は美人だし。
Posted by saffron at 2006年05月24日 20:03
はい。録画予約していたら、野球中継のせいで何時間もずれ込んでいて、それでも偶然はじまる前に気づくことができたので、なんとか見ることができました。ほんと、内容はとても興味深かったですよ。ただ、インタビューの仕方がいまいちかな、とも思ったんですが。

リサ博士はたしかに美人ですね。でもちょっと目つきが怖いかな(笑)。昔はとても内向的な少女だったそうですね。通勤中、橋を歩いて渡る時に五次元空間について何か閃いた、みたいなことを話していて、それがとても面白かったです。

それにしても、saffronさんはこの翻訳に関わったんですか?たいへんでしたね、というか、すごいっすね。で、今回の旅はいかがだったんでしょうか。
Posted by Ken-U at 2006年05月24日 22:28
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