2011年02月05日

「人生万歳!」 偶然の力、無限

ウディ・アレン監督 『人生万歳!』 (恵比寿ガーデンシネマ)

原題:『WHATEVER WORKS』

絶望した男は死のうとするが、果たせず、七転八倒する。

whatever_works.jpg確かに、この世界に身を置いていると、その狂気に、冷酷さにうんざりして、やがて自分が殺戮者であるかのような心持ちになり、殺戮は嫌だ、こんな世界から消えうせてしまいたい、いっそ死んでしまいたい、と衝動的に考えたりしがちなのだけれど、しかし人間そう簡単に死ねるものではなくて、たとえば、窓硝子を突き破って飛び降りてみたところで片脚が不自由になるくらいのもので、あとは偏屈の穴ぐらに閉じこもって、その闇の深さに脅えるしかない。本作は、自殺未遂の果てに片脚を引きずるひとりの男を中心に、彼と彼を取り巻く人々の暮らしぶりを描きながら、その悲喜こもごもを軽妙な喜劇に仕立て上げている。

しかし、救いは知性の外側からもたらされた。男は、偶然の出会いと、その連鎖がもたらす摩訶不思議な幸福にひたりながら、宇宙が知性を超えた高次元の成り立ちをしているというこの世の秘密(過去記事)に気づく。だから、なんでもあり。人は、心をあらゆる拘束から解き放って、知を棄て、目の前にある悦びをあるがままに受け入れなければらない。

やはり、ウディ・アレンはNYなのかなと思った。ここ最近では最高の出来、素敵な作品である。笑いどころが随所に散りばめられていて、ほろ苦く、しんみりする場面もあって、でも劇場を出るときには世界が少しキラキラと感じられる。そして知覚の外に広がる宇宙について、不意にもたらされる幸福について、生きる悦びについて、想いを巡らせた。幸福とは、掴めるものなのだろうか。
posted by Ken-U at 20:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画(USA) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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