写楽の活動期間は一年弱と短いが、本展ではその作品群を四つの活動期に分けて展示。

第2期:秋狂言に取材した全身像
第3期:その他の役者絵、役者追善絵、大童山を描いた相撲絵
第4期:新春狂言に取材した作品群
写楽の絵師のしてのピークは第1期で、華々しくデビューを飾ったが、以降、人気は衰退。作品が洗練されるとともに力が弱まっていくという流れはパンクに似ていて、大首絵の勢いや、役者そのものを写実的に描く点など(女形でも男性である役者そのものを描いている)、その大胆な作風も当時としてはパンク的だったのかもしれないなあ、などと勝手に考え、その在り方を70'sロンドンの下衆な音楽と重ねてみたり、息の長い活動をした北斎(過去記事)と比べて考えたり、浮世絵の幅の広さを自分なりに認識することができた。
実際、同時期に活躍した絵師の作品と比較できるよう同じ役者を描いた作品を並べて展示されていたり、単に絵をみるだけではなく、いろいろ夢想できるよう工夫を凝らしてあって、小一時間でさらさらみるつもりが、気づくと2時間近く居座ってしまった。
その後、閉館のアナウンスを聞きながらカタログを購入。暮らしが落ち着いたらゆっくり目を通したい。やはり写楽の絵は悪役の方がいいねとか、北斎のカタログと比較してみたり、そんな心のゆとりが欲しい。