2007年10月15日

「MY FOOLISH HEART」 流動する音の快楽

KEITH JARRETT, GARY PEACOCK, JACK DEJOHNETTE
/ 『MY FOOLISH HEART - LIVE AT MONTREUX』 (ECM)


my_foolish_heart01.jpgモダン・ジャズの魅力。たしか以前にも書いたことがあると思うけれど、それはやはりインプロヴィゼーションによる音の流動性にあると思う。その流れる音のつらなりによって、わたしは気分を高揚させたり鎮めたり、日常の中で知らず知らずのうちに縛りつけられている心を解き放つことができるのである。このトリオが紡ぐ音にしても、演奏が進むにつれ、スタンダードという枠組みがいつのまにか曖昧になり、ミュージシャンそれぞれの心の奥底から湧き出てくるかたちのない音のつらなりとなって、わたしを未知の領域へと引き込んでゆく。そうしてわたしはどこか違う時空へと迷い込んでしまうのだ。その、曖昧になった輪郭を破ることによって生み出される抜け穴から異空間へと浮遊する感覚と、そこから馴染みのある音のかたちへと引き戻される感覚、そのあちらとこちらを行ったり来たりするときに脳をつらぬく悦び、キース・ジャレット自身が「personal ecstacy」と呼ぶその感覚がたまらなくよいのだ。

このスタンダード・トリオは結成して今年で25周年になるという。本作はそれを記念するかたちでリリースされたようだけれども、演奏自体は2001年にモントルーで行われたものだ。今年、いつのまにか終わっていた彼らのコンサートに行けなかったぼくとしては、このトリオによる新しい音も気になってしまうのだけれど、彼らが奏でる音は古い新しいなどという概念を超越した次元で鳴り続けていることを考えると、当然のことながら本作を最新作として捉え、堪能すべきだと思い直した。またいつか彼らが来日してコンサートを開く機会があるとしたら、その時こそは、彼らが生み出す音の響きとキース・ジャレットのあの喘ぎ声を現地でそのまま味わってみたい。
posted by Ken-U at 00:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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