2007年10月21日

「LIVE AT THE 1963」 第2の黄金期に向かって

MILES DAVIS QUINTET / 『LIVE AT THE 1963 MONTEREY JAZZ FESTIVAL』

1963年のモンタレー・ジャズ・フェスティヴァルで行われたマイルス・クインテットによるライヴ音源を収録。

miles_1963monterey.jpgあの頃のジャズはワインみたいなもので、録音された年とメンバー、そしてリーダーが誰であるかで音の傾向、質をほぼ判断することができる。たとえば、この1963年というと、ミドルテンポと旋律の時代を抜け出したマイルスの第2黄金期を支えるクインテット胎動の年であり、そしてこのライヴが行われた9月は、このクインテットが結成されてまだ4ヶ月ほどで、彼らはツアーをこなしながらグループとしての音の熟成を進めている最中であった。だからこの頃の彼らの音は、以前のグループと較べると流動性が増し、疾走間も感じられるようになってはいるのだけれど、翌年に録音された『'Four' & More』、『My Funny Valentine』のようなあのボディ感が得られるまでには至っていない。グループとしての未熟さがまだ音の端々に顕れているのだ。なので、このアルバムは、音源の質がもうひとつという難点も含めて、『'Four' & More』、『My Funny Valentine』を経たあと、その2作品の音に至る前段階が知りたい、と思った時にさかのぼって聴くアルバムであるような気がした。

とはいえ、この音源が若々しく躍動感あふれるライヴであることは間違いない。マイルス中毒気味のぼくとしては、テナーサックスがウェイン・ショーターであろうがジョージ・コールマンであろうが、それにグループとしての完成度に少々難があるとしても、マイルス第2黄金期の音はすべて聴いてみたいと思っているので、このライヴはその未熟さも含めてそれなりに楽しむことができた。ジャズの魅力が音の流動性にあるのだとしたら、その魅力は作品の完成度だけに依存するのではない、といえたりもするのかもしれない。


posted by Ken-U at 18:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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