2005年09月21日

「乱れる」 そして掻き乱される

成瀬巳喜男監督の「乱れる」を鑑賞。若手人気俳優、加山雄三が高峰秀子と共演。1964年の作品。

midareru01.jpg恐ろしい作品だった。あのラスト。観終わった後、少し間をおいてからぐさりと突き刺さるような。しばらく放心してしまった。

1964年といえば、東京オリンピックの年だ。この国は高度経済成長の絶頂にあった。日本人が夢を見ていた時代。ぼくの両親も東京にいた。ぼくはまだあの世でゆらゆらしてたんだけど。

そんな時代にこの作品を突きつけたわけだ。そこに成瀬監督の強い意志というか、どちらかというと深い絶望を感じる。東京が物語の舞台に選ばれなかったところにも注目したい。

この作品でも、居場所のない男女が排除されていく様子が描かれている。作品の後半、ふたりが延々と移動していく。その過程を執拗に撮っている。そこに成瀬監督の心情の深さが表現されているようだった。

印象に残るのは作品の前半、礼子と幸司が口げんかをする時のショット。幸司は捨て台詞を吐いた後、2階にある自分の部屋へと移動する。階段の向こうが暗闇になっていて、その暗闇の中へ幸司が消えていくように撮られている。後になって振り返ると、そこには幸司が抱えている心の闇や、彼を待ち構えている運命が暗示されているようだった。

*****

その他にも、冒頭から卵をつかって物語の背景を描くところなど、脚本の良さに感心させられた。それに、終戦から20年近くたっても戦争が描きこまれているところも。

珍しく、自分なりにネタバレに配慮して書いてみた。ぶらぶらしている男としては、いろいろと考えさせられることも多かった。ぶらぶらしてる男は、ぶらぶらしながらいろんなこと考えてるってことだ。

昨日、都知事がオリンピック招致を表明した。スーパーマーケットといえば、中内功氏が19日に亡くなった。そういうタイミングで放送された作品。これもなにかの因縁なのか。


posted by Ken-U at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画(成瀬巳喜男) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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