2005年10月26日

「ダライ・ラマの般若心経」 相互依存と慈愛

菊地和男監督 『ダライ・ラマの般若心経』(official site) (UPLINK X)

ダライ・ラマ法王が「般若心経」について語る姿をビデオに収めたドキュメンタリー作品。「般若心経」を支える「空」とはなんなのか?その疑問に対して、ダライ・ラマ自身がカメラの前で語る。

dalai_lama_02.jpg仏に対する畏怖の念にもとづいて念仏を唱えるのだとしたら、仏教に関する知識がないとしても、何かしらの意義があるのかもしれない。しかし、それは十分であるとはいえない。とダライ・ラマ法王は語る。仏典の意味するところを知るためには、それを学ばなければならない。学ぶことによって、真理に近づくことができるというのだ。

それでは、「空」とは何を意味するのか。それは、完全に独立した事物は存在しないということである。あるのは「相互依存」のみであるというのだ。「空」とは無ではなく、そこには相互依存のみが存在するとダライ・ラマ法王は語る。

そしてテーブルの上にある紙を指さし、これは紙だけれども、この存在を素材や原子のレベルで突き詰めていくと、もはや紙は紙でなくなる、という例があげられる。また、「自我」についても同じことがいえるという。確かに「わたし」という意識はあるのだけれど、それがいったいどこにあるのかは定かではない。それを突き詰めていくと、「わたし」はなくなり、「わたしの意見」「わたしの考え」などは存在しなくなる。それが「空」なのだという。そしてさらに学習が進めば、その「空」を直接体感できるようになるのだそうだ。

*****

20世紀に人間は多くを学んだ。だからこの21世紀は調和のとれた平和の時代になるだろう。そこで大切なのは、「空」という概念と慈愛の精神である。とダライ・ラマ法王は柔らかな笑顔で語る。それにしても、あの朗らかな態度はいつ見ても凄いなと思う。「空」について真面目に語りながらも、その合間ではよく笑っていらっしゃった。

本作を通じて、ダライ・ラマの読経の様子を初めて観ることができた。太く、しっかりとした、それでいて柔らかく深く響く声だった。その声が鐘や鳴り物の音と響きあいながら、とても厳かでゆったりとした空間をつくりだしている様子が深く印象に残った。


posted by Ken-U at 16:27| Comment(4) | TrackBack(3) | 美術など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして
先週この映画を鑑賞してきました
簡潔で要領よくまとめてあるこちらのブログ
にリンク貼らせていただきました
事後報告ですみません
また覗きに来ます!
Posted by オーマエ at 2005年11月27日 20:18
オーマエさん、ご連絡ありがとうございます。

リンクの件、了解しました。この記事が少しでもお役に立てばいいんですが。オーマエさんの記事も読ませていただきます。
Posted by Ken-U at 2005年11月28日 00:57
TBありがとうございました!

これからもよろしくお願いします。
Posted by 行徳のもぐちゃん at 2006年04月02日 07:47
こちらこそ、コメントありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
Posted by Ken-U at 2006年04月02日 19:25
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Tracked: 2005-12-15 17:43

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