2009年04月12日

「Silent」 That's Negro Music

Glenn Underground / 『Silent』 (UNIFIED)

glenn_underground_silent.jpgニグロ・ミュージック。魂あふれる音楽。かっこいいと思う。器械により精緻に組み立てられた今のハウス・サウンドにつつまれながら、しかしその硬質な音の表皮の下には、あの頃から脈々と流れ続けるニグロなソウルを宿している。硬い4つ打ちのビートとしなやかなソウル。それらが重なり合い、絡み合いながら、とびきり上質なグルーヴとなって、本作の魅力をかたちづくっている。

オープニング・トラックの『Negro Music』では、そのライムの中で、レイ・チャールズ、デューク・エリントン、E.W.F.など、伝説的なアフリカ系ミュージシャンの名前が並べられる。つまり、本作で鳴るニグロ・ミュージックは、過去に生み出されたニグロの魂、それはソウルとしか呼ぶことのできない摩訶不思議な運動体なのだけれど、その歴史の積み重ねの上に成り立っている。だからその味わい、深みは、老舗鰻屋の秘伝のたれの如くである。それは黒々と、艶々としている。だから、この音に身をまかせているいると、いつのまにか、頭が、肩が、尻が、勝手に揺れ動いてしまうのだ。この音に触れる誰もがニグロの奴隷となる。購入以来、何度となく繰り返し聴きながら、ゆらゆらと揺れ動いたり、ファンキーな合いの手を入れたりしながら開放されている。快作。


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2009年03月31日

Spiritual things...

Ensemble Al-Salaam / 『Sojourner』 (P-VINE)

sojourner.jpgとにかくベアトリス・パーカーのヴォーカルがよい。彼女の声は言葉の領域を突き抜けていて、その響きそのものになにか大きな価値が籠められているのだと思える。聴き惚れているうちに、もうくらくらきてしまった。

本作は、いわゆるスピリチュアル・ジャズのリイシューものである(オリジナルは70年代にリリースされている)。しかも、CD化されたのはこれが世界で初。ということはまあ、ジャズの主流からみると少しきわのところに位置づけられる音だと思うけれど、その時代、その立ち位置ならではの力、息吹きのようなものを感じられる良作だと思う。
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2009年03月28日

Pandit Kishan Maharaj

『Tribute To Pandit Kishan Maharaj - Live From Saptak Festival』 (Sence W.M.)

昨年五月に亡くなったインド古典音楽の巨匠、パンディット・キシャン・マハラジを悼むライヴアルバム。

pandit_kishan_maharaj.jpgタブラのソロ演奏がゆるゆると続く。といっても、そのリズムが緩慢だというわけでは決してなく、むしろタブラが生み出すビートは密に感じられる。なので、「ゆるゆる」という表現は適当ではないのかもしれないけれど、しかしそれは鬼気せまるものではなく、むしろ人の心を解きほぐすようなところがあるのでここではあえて「ゆるゆる」と表現した。拘束的ではなく、開放的というか、瞑想的なのだ。ゆるやかに流れる時の中にきめこまやかなタブラのビートが木霊している。

CD1の終盤で、ガネーシュ・パランという神々の名前をサンスクリット語で唱えたあとにタブラを打ち鳴らす儀式が挿入されている。ほのぼのとした空気の中に音楽と宗教との原始的なつながりが保存されていて、人間の暮らしと宗教を完全に切り離すことはおそらく不可能なのだろうなあ、などと空想した。
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2009年02月21日

POST-DETROIT, MINIMAL, CLICK...

Shed / 『Shedding The Past』 (Ostgut Ton) : left
Dinky / 『May Be Later』 (Vacant) : right

shed_dinky.JPGしばらく前に購入した2枚。昨秋、パリにてミニマルにかぶれ、その後、CDストアでいろいろ漁ったのだけれども決定打がなく、その間、ジプシー音楽やらエスニックな音に影響されたりして、その流れでこの2枚に辿りついたと記憶している。

これまで何度となく聴いた。で、どちらも悪くはないのだけれど、パンチに欠けるというか、机脇のCDの山の中からこれを選ぶ機会はそうないような気がする。とくに、チリ出身のDinkyにはもう少し魔力的ななにかがあるのではないかと期待していたのだけれど...これも相性なのだろうか。

今後も合間に聴き直しながら、この2枚の魅力を探るつもり。
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2009年02月05日

「a moment for the life」

kaito / 『a moment for the life』 (OCTAVE LAB.)

a_moment_for_the_life.jpgMixCDの魅力は、トラックひとつひとつの輪郭が曖昧になりながら切れ目なく繋がりあい、その音のつらなりがひとつの大きなグルーヴをかたちづくるところにあると思う。とくに、トラックとトラックが重なり合うところ、あるいは、ひとつのトラックのある部分から別のトラックが突然わき出てくるところなどから大きな悦びが溢れ出てくる。

この『a moment for the life』は、Kaito名義の16トラックをKaito自身が繋いだベスト盤的位置づけを持つMixCDである。つまり、この1枚で、厳選されたKaitoの各トラックと、MixCDならではの繋ぎの魅力を同時に堪能することができるのである。ただ、後半のどこかしらでいかにもMixCD的な絶頂感を味わうことができはするのだけれど、どちらかというとベスト盤的な匂いの方が強いアルバムなのかな、とも思う。個人的には、各トラックの原型をもっと壊してくれてもよかった。

でもきっとそれはライヴで観るべきなのだ。今年こそは、Kaitoのライヴに行きたい。
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2008年07月21日

「Life,Love」 言葉による拘束、愛

Hiroshi Watanabe feat. Keiichi Sokabe / 『Life,Love』 (Lifeline Records)

意外にもヴォーカルがフィーチャーされた新作。

life_love01.jpg待望の新作はHIROSHI WATANABE名義。しかも意外なことに、ヴォーカルをのせたトラックがメインになるという。HIROSHI WATANABEのヴォーカル・トラック。入り混じる期待と不安を胸に、本作を聴いた。

サウンドは間違いなくHIROSHI WATANABEのものである。が、いくつかのトラック、それも重要な部分に曽我部恵一によるヴォーカルがのせられている。とくに、14分にわたるラスト・トラック「Life,Love」などにいたってはもうあれは歌である。ずっとヴォーカルがうぉーうぉーしていて、その挙げ句に「いくつもの夜を越えて...」みたいなことをいう。ほかにも、「愛はいつだって...」といったフレーズも繰り返されるのである。個人的には、こういうのはいらないな、と思う。悪くはないのだけれど、結局、部屋の中で音が欲しくなった時に、なんとなくこのCDに手を伸ばしづらくなってしまうのだ。

そもそも音楽には言葉を超えた魅力があり、それは音の塊でありながら脳内で光の束というか粒子のようにきらきらとするのであって、その音楽の摩訶不思議な運動を言葉で縛り、歌の領域にとどめてしまうとどうしても本来あるべき魅力が薄れてしまう。ヴォーカルがどうというより、歌にはしないほうがいいんじゃないかな、と思った。せめて、歌詞をもっと詩の世界に近づけていく必要があるのではないだろうか。
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2008年07月20日

「GIRODIBANDA」 ITALIA x BALKAN

Cesare Dell'Anna feat. Esma Redzepova / 『GIRODIBANDA』 (11-8 Records)

ゲストにEsma Redzepovaの名前を見つけ、購入。CDとDVDのカップリング。

girodibanda.jpgCesare Dell'Annaが率いるこのGIRODIBANDAは、イタリアのプーリア州とその対岸に横たわるバルカン半島の土着的な音楽や流行歌などを混ぜ合わせて演奏する摩訶不思議なグループだという。調べてみると、南イタリアにあるプーリア州は歴史的にアルバニアからの移民が多いらしく、ということは、たぶんプーリアの音楽には伝統的にこのGIRODIBANDA的なミックス感があるのだろう、みたいなことを考えながらこのライヴアルバムを聴いた。

音は、やはりわいわいとしている。が、どこか欧州的である。つまりなんかこう、型に収まっているのだ。それはエスマがヴォーカルをとるときに際立って感じられる。彼女の声が浮いてしまうというか、周囲の音がどこかちゃんとしているように思えてしまう。それはたぶん、彼女の歌声があのロマの音楽を思い起こさせるからなのだろう。決して悪くはないのだけれど、ジプシー音楽のあの躍動感と比較すると、本作の音にはどこかしら物足りなさが残る。

ただし、DVDには、チェザーレ・デランナ一行とともにわいわいしている大道芸人や見世物集団、あるいは簡素なバックステージに椅子がぽつんと置かれていて、そこに凛としたエスマが腰をかけていたりと視覚的にいろどりがあって、楽しい。それにしても、エスマという人はとてもよい年のとり方をしているなあと思う。
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2008年07月10日

Fabric 39

『Robert Hood Fabric 39』 (FABRIC77)

robert_hood_fabric39.jpgジャケットには得体の知れぬ人物のバストショット。その頭部は植物で覆われており、しかし中央部分にあるくぼみから黒目がちの目玉がぎょろりとのぞいていて、その焦点定まらぬ感じがどこか薄気味悪い。安手のふくろう男のような風貌である。

とはいえ、肝心のサウンドはとてもストレートというかオーソドックスとでもいうのか、とても素直なテクノに仕上がっていて、ビートは小気味よく、キレもあり、アッパーでのりのりな感じで気分を高揚させる。そういえば、あのジャケットの薄気味悪さはいったいなんだったのだろう、と振り返って首をかしげてしまうほどのヌケのよさである。最近、頭を空にして部屋の中を適当に騒々しくしておきたいときに鳴らしている。Robert Hoodという人は腕のよい職人だと思う。
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2008年04月27日

RESTLESS +2

MATTHIAS TANZMANN / 『RESTLESS』 (MOON HARBOUR)

パリの某ショップで流れていた「ドイツのミニマル」が心地よかったので、これからはミニマル系もチェックしようと思い、ためしに本作を購入した。

restless02.jpgミニマル・ハウスの音には透明感があり、その透明な音のつらなりは空間のあちらこちらに打つ音をこだまさせる。かと思うとそのつらなりは膜のように振る舞い、目には見えないクッションとなって、膨らみ、ぼわぼわとした弾力に富む波動を生み出す。あるいは鈴のように細やかに鳴り響く。変幻自在である。ミニマルというくらいなのでサウンドは構築的ではなく簡素で、しかし簡素ではあるけれども変幻自在であるので脳内で複雑に響きわたる。しかも、その音の背後には秘めた暴力性というか荒々しさが隠されていて、聴く者の心の奥底に潜む暴力への欲求をくすぐりながら鎮めてゆく。とても心地よい音だと思う。

Moon Harbourはドイツでも指折りのミニマルハウス・レーベルであるらしく、それを主宰するMATTHIAS TANZMANNによる初のフルアルバムがこの『RESTLESS』である。パッケージには『Five Years of Moon Harbour』と題されたボーナス・ディスクがついていて、さらに会計時に『DJ at Mixrooffice, Shibuya』というプロモーション用ディスクをオマケしてくれる。これらの作品群はいま探しているミニマルの音ずばりというわけではなかったけれど、ミニマルの魅力を感じることはできたし、よいきっかけになった。
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2008年03月31日

GYPSY CARAVAN - O.S.T.

『Gypsy Caravan / When the Road Bends... SOUNDTRACK』 (WORLD VILLAGE)

映画 『ジプシー・キャラバン』(link)のオリジナル・サウンドトラック。

gypsy_caravan_sound_track0.jpgジプシー・ブラスの音楽には心躍る魅力がある。その昔、エミール・クストリッツァ作品でその音に触れるたびにジプシー・ブラスのライヴに対する欲望がふくらんでいたのだけれど、そのきっかけもないまま数年が過ぎ、満たされぬ欲望は宙吊りになったままどこか深いところへ潜り込んでしまっていた。

先日の映画『ジプシー・キャラバン』は、当初、ジプシー・ブラスの代表格であるFanfare Ciocarliaのライヴが目当てだった。何年も宙吊りにされたままの己の欲望を満たすために足を運んだようなものだったのだ。けれど、いざ本編が始まってしまうと、個別のグループがどうこうというこだわりはなくなり、それぞれのサウンドが絡みあい混ざりあうことによって生み出されるあのグルーヴ感にすっかり魅了されてしまって、その後、このサントラを購入するに至った。本作には20トラックあまりが収録されている。たぶん、映画で紹介されたすべての楽曲が網羅されていると思うのだけれど、部屋で聴いているとあの時の映像が脳裏にぼんやりと流れてはどこかへ消えて去ってゆく。よいサントラであると思う。

中でも、とくにお気に入りなのはインドのMaharajaである。神秘性と娯楽性がごちゃまぜになったそのたたずまいと音楽、そして摩訶不思議なあの舞踊には強い魅力を感じる。たしか彼らは、あのキャラバンの中でも中心的な存在だった。それぞれのロマたちが彼らの音楽の中に自分たちのルーツ的な要素を見出していたのだ。しかし残念なことに、マハラジャのCDは入手困難であるらしい。なので、彼らのウェブ・サイト(link)からいくつかの音源を落としてみた。いつの日か、彼らのステージを観ることができたらいいなと思う。
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2008年03月23日

MASTERPIECE Created by Francois K.

FRANCOIS K. / 『MASTERPIECE』 (MINISTORY OF SOUND)

「Napori」、「Manchester」、「Tokyo」と題された3枚組ミックスCD。

francois_k_masterpiece.jpg事前の予想とは違い、ずいぶんとテクノ寄りの音づくりがされている。CISCOのインタビュー記事によると(link)、ここ最近、彼のDJスタイルはテクノに偏っているらしく、だから本作のタイトルが『MASTERPIECE』であるといっても、これまでのディープ・ハウス総決算的なアプローチをとるのではなく、今現在、彼が好んで取り組んでいる音の傾向をストレートに表現することにした、というのが彼の本作に対する基本姿勢であるらしい。正直、テクノの持つ金属感よりは、ディープ・ハウスが漂わせる液体的な音の感触の方が部屋で聴くには心地よいので、そのコンセプトには少し残念に感じるところもあったのだけれど、しかし先入観を抜き去り、気持ちを改めて聴き直してみると、人間の意識とは摩訶不思議なもので、するとじわじわと、これはこれで濃いよい作品に仕上がっているなあなどと思えてくる。なんだかんだいって、本作の中でも最もテクノ色の強いCD-2「Manchester」が気に入っていたりするのだ。しかしまだ「Napori」は未消化。最後の「Tokyo」は比較的多彩な音の広がりがあり、東京らしいごちゃごちゃ感があってよいと思える。

ところで、FRANCOIS K.といえば、4月26日(土)にイベント『Deep Space』がイエローにて。21時オープン。ちなみに、イエローは6月末をもって閉店することが決まっている。
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2008年02月17日

CDs in this winter...

暮れからこの1月までの間に購入し、ここに書き込めなかったCDの記録。

four_cds.JPG

from left:
『PHOENIX』 / SYSTEM7 (A-WAVE)
『A BIGGER TOMORROW』 / PAOLO "APPOLLO" NEGRI (HAMMOND BEAT)
『DRUM LESSON VOL.1』 / CHRISTIAN PROMMER (SONAR KOLLEKTIV)
『TRADITIONS & CONCEPTS』 / LOS HERMANOS (SUBMERGE)

*****

秋からキース・ジャレットのアルバムを繰り返し聴きすぎたせいか、それともこの冬が寒すぎるせいなのか、ここのところ、このての音楽を聴いてもなぜかぴんとこない。ここ最近の気分といまひとつ噛み合わないというかなんというか。『PHOENIX』は手塚治の『火の鳥』を下敷きにするというコンセプトがあるからその縛りのせいで抜けが悪いのかなあだとか、『A BIGGER TOMORROW』は冒頭から勢いで飛ばすけれどフルアルバムを疾走できるだけの引き出しがないのかもなあとか、しかしそのほかの2枚はよいアルバムなのになぜもうひとつぐっとこないのかなあなどと考えているうちに2月も半ばを過ぎてしまった。まだまだ寒い日は続いているけれど、晴れた日の太陽はもう真冬のものではない。太陽は、遠すぎても、近すぎても、人間に死のイメージを抱かせる。地軸のずれという偶然は、生命の在り方に決定的な影響を与え続けているのだなあと思いながら2月の空を見上げた。晴れたり曇ったりの週末だった。晩は、牡蠣のしぐれなんとか。白菜やほうれん草などと一緒に大根おろしで煮たもの。
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