2010年12月12日

El classic!

barcelona10112907.jpg

11月30日(火)未明

TV観戦でここまで興奮したのはいつ以来だろう。ゲーム開始から数分間はウトウトして映像を眺めることができず、うつ伏せて目を閉じたまま実況を聞き流していたのだけれど、時間が経つにつれ実況がわあわあうるさくなり、こんな夜更けに何事か、と顔を上げてみたらバルサがえらい勢いで攻め立てていて覚醒。すると、しばらくして先制。二点目のときには拳を振り下ろしながら「ヨシ!」と唱え、以後は爛々。一方的ではあったけれどダレることのない好ゲームであった。それにしても、イニエスタ→シャビと渡ったゴールは超人的。彼らは時空を自在に操る。

で、マドリー。モウリーニョの限界が露呈した夜となった。彼は、本当はバルセロナの監督になりたかったに違いないのだけれども叶わず、で、マドリーに翻って復讐を企てたのだろうけれど、それも叶わなかった。さて、次のクラシコに向けて、策士モウリーニョはいったい何を企むのだろう
posted by Ken-U at 15:50| Comment(0) | TrackBack(0) | サッカー(欧州) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月28日

味スタ 崖上のドロー

fctokyo_10112701.jpg

11月27日(土) 薄曇り、ときどき晴れ

ホーム最終戦。駆けつけねば、と思い渋谷から移動。キックオフ30分前に着席。ほぼ中央。思いのほかよい席にありつくことができた。

ゲームはいつもの通り。梶山&米本の中盤が悪いわりにはこちらのペースでゲームを進め、どうにか先制。しかし終盤にぐだぐだして同点に追いつかれた。

まだJ1残留が決まらない。来季の運命は宙吊りになったまま。この日も、すぐに二点目を決めていれば楽に勝てたゲームだったのだけれど、先制したとたんにプレーが雑になって、追加点どころか何かあわあわしてしまい、どうしてなのだろう。選手の経験不足もあるのだと思うけれど、終盤に向けた選手交代にも一因があるのではないかと思う。なぜあそこで前田なのか、とか。どうして羽生の代わりが森重なのか、など。選手交代を考える際、勝つというより、負けたくないという心理が強く働き、その消極性が終盤のぐだぐだをさらにぐだぐださせているように思える。降格を恐れ過ぎないでほしい。降格を恐れれば恐れるほど、それはむしろ近づいてくるのだ。

こんな時期に夜のゲームだったので現地でビールは抜き。帰宅し、メカジキのソテーを食べながらアーセナルのゲームをライヴでみたのだった。
posted by Ken-U at 19:27| Comment(0) | TrackBack(0) | サッカー(国内) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月21日

「Go」 声の魅力、無限

Jonsi / 『Go』 (EMI)

jonsi_go01.jpgヴォーカリストの初ソロアルバムということで、正直、あまり期待せずに聴いてみたのだけれど、これが予想を大きく裏切る出来。はじめはガチャガチャとポップな印象で、しかし音楽が進むにつれて幻想度が増していき、気づくと北欧の夜空の中。その浮遊感のまま宇宙を旅する自分がいるのだった。

声の力を感じた。その響きは摩訶不思議なもので、心に無限のエネルギーを感じさせる。Jonsiの歌声には歌を超えた声そのものの魅力があり、本作にもその響きがふんだんに籠められている。聴いていると、心がこの世から離れていく。
posted by Ken-U at 18:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月13日

「SHINE A LIGHT」 成熟と力

ROLLING STONES - MARTIN SCORSESE / 『SHINE A LIGHT』 (Polydor)

shine_a_light01.jpg金曜の夜、このまま帰宅するのもなんだなあ、と、何時くらいだったか、たぶん11時を少し過ぎた頃だったと思う。歩きながら、ふと思いついて近所の食堂に立ち寄った。最近できた店だ。

その店の壁で、『SHINE A LIGHT』を観た。食事も、酒もうまく、良心的な価格設定で、さらに上映中のライヴも最高。結局、食後酒に自家製のリモンチェッロをつけて、最後まで鑑賞。気分もあがり、文句のない夜となった。

老いてますます盛っている。とはいえ、ストーンズの面々もとっくに六十を過ぎているだろう。と思って調べたら、むしろ七十に近いじゃないか。そんな彼らのパフォーマンスは、むしろ若い頃よりも密度が濃く感じられ、文句のない出来ばえ。単純に格好いいと思った。今、あらためてこのサウンド・トラックを聴いてみてもやはりよい感じなのだけれど、やはり映像を眺めているときの高揚はまた格別。綽綽とギターを鳴らすキース・リチャーズやロン・ウッドの姿に、大きくなったらローリング・ストーンズみたいになりたい、と子供のような想いが湧きあがる。しかしこんな俺に、あんな歳のとりかたができるだろうか。

本作の存在自体は知っていたけれど、正直、甘くみていた。「JUMPIN' JACK FLASH」をあえて頭にもってきて、いきなりクライマックスな演出をしてるところに彼らの本気度の高さが伺える。なんかこう、突き抜け感のある、熟成された格好よさといえばいいのだろうか、人生、経験は宝。
posted by Ken-U at 20:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月07日

味スタ ドロー

fctokyo_10110601.jpg

11月6日(土) 秋晴れ

休日、なかなかベッドから出られず、目覚めが遅いこともあり、スタジアム着が遅くなってしまって、スタジアムで着席したのがゲーム開始15分前。

前半は東京のゲームだった。大黒のゴールは素晴らしかったし、その後もガンバのゴール前を何度も脅かした。が、攻撃が雑というか、なにかが足りないのだ。石川、平山はよかったけれど、ゴール付近でぶれる。英雄になりたい、という欲が深すぎるのではないかと思う。もっとシンプルにプレーできれば可能性が高まると思うのだけれども。

そして後半、ガンバに主導権を渡し、セットプレーから失点。で、ドロー。

課題は最後の15分、20分。そこをどう乗り切るかなのだけれど、今、序盤から力をセーブする余裕はなく、そこを守りきるというより、やはりその前に追加点が欲しい。

*****

帰り。人身事故で京王線が止まり、車中で20分ほど過ごす。復旧後、急いで帰宅し着替え、恵比寿へ。友人とビストロでディナー。ビストロとはいっても洒落たつくりでポーションもがっつり。食べて、呑んで、いろいろなことを話して、考えてみると、彼女たちとの付き合いは20代の頃から。途中、ブランクはあったりしたのだけれど、つくづく、貴重な関係だなと。
posted by Ken-U at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | サッカー(国内) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月24日

味スタ 崖上にて、紙一重

fctokyo_10102301.jpg

10月23日(土) 曇り

過労のせいだろうか、二十年振りにえぐい口内炎ができ、やさしさを求めて食堂へ。玄米と有機野菜の惣菜ランチをいただく。癒し。そして精算。店を出て戸に手をかけると眼前にランチ営業終了の文字が。時は流れる。

味スタ。ゲームは序盤から東京のペース。しかしいつもの如く点はとれず。そして自滅的失点。後半、追いつくも最後の最後にPK献上。思わず天を仰いでいたら、権田!

勝ち点1は死守できたけれど、例の如く煮え切らないゲームとなった。開始早々の大黒のヘッドが決まっていたら、石川がフリーで打ったシュートのひとつだけでも決まっていたら。様々なたらればが脳内を巡る。

その後、友人に招かれ御馳走になる。韓国経由でミラノまで食の旅するような夕飯であった。又、呑み、語り、心身ともにチャージできたつもりが、帰りの車内でうとうと。最近、なにかにつけ睡魔に襲われ、ゆらゆらしてしまう。
posted by Ken-U at 18:04| Comment(0) | TrackBack(0) | サッカー(国内) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月10日

Keith Jarrett Trio 時空を超える旅、神技

Keith Jarrett Trio - Japan Tour 2010

10月3日(日) 曇り

keith_jarrett_trio_2010_2.jpg念願のコンサートに足を運べ、それでけで感無量になり緊張してしまったのか、開演前に軽くワインでも、と思ったりもしたのだけれど席から離れられず、ただじっと漆黒の舞台を眺め、三人の登場を待った。

開演。1st.ステージはテンポの速い曲、「Shaw 'Nuff」、「Butch And Butch」などでキースのミスタッチが目立ち、それぞれの連携にぎくしゃくしたところもあって、彼らも老いが隠せないのだなあ、とか、近年の演奏がアルバム化されないのはこうした理由があったのか、などと、いらぬことをもやもや考えたり、正直、舞台に集中しきれないところもあったのだけれど、しかし演奏は尻上がりに濃度を増していき、ピアノは縦横無尽に弾け、その波動にベースのうねりが、ドラムのビートが複雑に絡み合って、気づくと闇は得体の知れぬ異次元、わたしの意識はその快楽の中に溶けていたのだった。喝采。最後、爆発的な拍手とともに彼らは消えた。

このトリオの素晴らしさは、個の表現を超えた次元で音楽を鳴らしているところにあると思う。おそらく、みな無心なのだ。無心のまま闇の中に身を潜め、そこから沸き立つなにかしらをたどり、響かせながら得体の知れない時空へ聴衆をいざなう。たぶん、これが成熟した音楽というものなのだろう。時の流れは彼らから様々なものを奪ったのだろうけれど、その一方で、彼らはかけがいのないものを得て、そうして神から与えられたその恵みを音楽の成熟につなげ、それを聴衆に贈りとどける旅を続けているのだ。彼らにとって、生きること、命そのものが音楽と繋がっているのだろう。

*****

Set List

<1st>
1. Golden Earrings
2. Shaw 'Nuff
3. Little Man, You Have Busy Day
4. Butch And Butch
5. Last Night When We Were Young

<2nd>
1. You Won't Forget Me
2. Things Ain't What They Used To Be
3. Broadway Blues

***
<"Encores">
1. I've Got A Crush On You
2. Answer Me, My Love
3. Straight, No Chaser

*****

帰り、祝杯をあげなければ、という気持ちが抑えられず、近所の食堂に立ち寄る。最近できた店で、カウンターで、適度な会話と、グラスのスパークリング・ワインで始め、続いて白、で、締めは自家製のリモンチェッロ。これがまた至福の出来なのであった。
posted by Ken-U at 17:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月09日

国立 崖上の歓喜、喝采

fctokyo_10100302.jpg

10月3日(日) 晴れ、少し曇り

久し振りの国立。入場が遅かったので席がなく、上階へ向かおうとしたけれど閉ざされていたので、やむなくアウェイ寄りの少し静かなエリアへ。

城副監督がクビになったのは残念なのだけれども、その後、大熊監督が就任して、選手起用が素直になり、ボール運びも少しシンプルになって、前節からゴールの気配はしていたので、あとはきっかけ次第なのではないかと思っていたのだけれど、ついにその時がきた。執念みなぎる大黒のゴールの直後に、石川直の綺麗なゴールが決まり、場内は歓喜の渦。口々に、久し振りだ、久し振りだと叫びながら、拍手喝采。

やはり、勝利は心地よいものだと思う。二点リードしたあとは、閉塞感から解放され、晴れ晴れとした気分になった。しかし欲をいえば、三点目をもっと早い時間に、連携を伴うかたちで決めてほしかったのだけれども。いや、強欲は罪であるので、謙虚な心を忘れず、崖上から少しずつでも逃れられるよう、積み上げていければと思う。

その後、渋谷に移動。キース・ジャレットのコンサートへ。
posted by Ken-U at 16:58| Comment(0) | TrackBack(0) | サッカー(国内) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月02日

味スタ 秋晴れ、サンバ、敗北

fctokyo_10092501.jpg

9月25日(土) 秋晴れ

味スタ。この日は寝坊をして、下北でラーメンを掻き込み、開始前ぎりぎりに現地着。席につくと同時にサンバ隊のパフォーマンスが終わり、べつに楽しみにしていたわけではないけれど、少し損をした気分に。

大熊監督が就任して初めてのゲーム。以前と変わったのは、最終ラインからのロングフィードが解禁されたこと。トップの平山に当てたり、サイドの石川、リカルジーニョに渡したり、シンプルにボールを動かそうという意図が感じられた。しかし、残念なことに、その先がいまひとつで、両サイドの判断、連携が悪く、ゴールに結びつかない。で、仕舞いには逆にゴールを決められて万事休す。

城福監督が解任になったり、菅首相の続投が決まったり、悪いニュースの続く秋ではあるけれど、それでもサッカーは続くのだなあなんて考えながら、下北下車。そして徒歩にて自宅まで。で、寝冷えなのか体調がすぐれなかったので、そのまま仮眠。

******

夕刻。起き上がって仕度。移動。落ち合って寿司屋へ。弱った胃に鞭打って、カウンターでつまみながら、いろいろなことを話した。でも、被差別民のことや、レイプのことなど、場にそぐわない話題は少し慎んだほうがよいと思うよ。

食後、久々の来客。適当に片づけをしたつもりだったけれど、駄目だし。まあそれはそれとして、うまい芋焼酎と、高木正勝の映像など。

部屋。少し片付けたつもりだったけれど足りないようなので、これからもっと気をつけるようにしたい。
posted by Ken-U at 19:31| Comment(0) | TrackBack(0) | サッカー(国内) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月25日

CL+

arsenal10091502.jpg

UEFA CHAMPIONS LEAGUE - Match Day 1

アーセナル vs ブラガ

今季、派手な補強はせず、例年通りに地味に選手強化を図ったアーセナル。開始前はどうなるかと不安がよぎったりもしたのだけれど、そこはヴェンゲル、抜かりはない。ふたを開けてみれば、ブラガ相手とはいえ圧倒的なチーム力ををみせつけたのだった。スキラッチ、コシエルニのCB、シャマフのCFと、新加入の選手がしっかりフィットして、チームの軸をかたちづくっていたし、そこに従来の選手がうまく絡み、互いの魅力を発揮しあっていた。選手層に不安は残るけれど、今季も魅せてくれるのは間違いない。

***

バルセロナ vs パナシュナイコス

パナシュナイコスが先制したときは、これはまた...と脳裏によぎったのだけれど、すぐにメッシが。そしてビジャ、またメッシと連打。ゲームの行方を早々に決定づけたのだった。

***

ブレーメン vs トッテナム

二年ぶりのブレーメン。選手の顔ぶれは変わったけれど、しかしブレーメンはやっぱりあのブレーメンのままなのであった。とにかく脇が甘い。先制され、追加され、で、ハーフタイム直前に豹変。今度はイケイケで同点に追いつき、しかし詰めが甘くてドロー。

さて、次節はどんな展開をみせてくれるのだろう。

***

M.ユナイテッド vs レンジャーズ

選手を大幅に入れ替えたユナイテッド。これで勝ちたいところだったと思うけれど、現実は厳しかった。レンジャーズはよく耐えたと思う。といっても、TV観戦は後半の途中まで。

***

ブルサスポル vs ヴァレンシア

未見。

*****

リーガ・エスパニョーラ 第3節

アトレティコ M. vs バルセロナ

このゲームを落とすと苦しくなるバルサだったけれど、流石、接戦をものにした。で、またメッシ、この人はずば抜けている。

*****

イングランド・プレミアリーグ 第4節

アーセナル vs ボルトン

技のアーセナルと力のボルトンの激突。軍配はアーセナルに上がった。柔が剛を制した。これもプレミアの醍醐味。

***

イングランド・プレミアリーグ 第5節

サンダーランド vs アーセナル

アーセナル、土壇場で勝ち点2を逃す。ここがなんとかできれば強いんだけれども。

*****

リーグ序盤ということもあり、疲れもあるのかもしれないけれど、散漫な観戦に終始。
posted by Ken-U at 02:19| Comment(0) | TrackBack(0) | サッカー(欧州) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月18日

味スタ 閉塞の中で、落胆と、睡魔と

fctokyo_10091201.jpg

9月12日(日) 晴れ?曇り?

酷いゲームだった。バルサ・スタイルといわれる4-1-2-3らしき布陣を採用した序盤、組織が機能せず、そのうち羽生、高橋と怪我をしてしまって元の4-4-2に。しかし事態は好転せず、しまいには森重がまた相手にPKを与えて万事休す。

今年、スタジアムにいて哀しいのは、ゲーム途中から眠くなってしまうこと。後半途中あたりから徐々に睡魔が襲ってくるのだ。サッカー見てて眠くなるなんて、これは恐ろしいことだと思う。

帰り。京王線で人身事故というので駅前からスタジアムまで戻り、バスにて吉祥寺まで移動。そこから井の頭線で下北、遅めの夕食をとり、徒歩にて帰宅。夕食は、チベットをテーマにした食事処で野菜は有機だという。でも店の男たちがリーゼントで「ナマステ」と言いあったり、店に入るのはまだ二度目なのに顔を憶えていてくれたりして、静かだし、落ち着きのあるよい店だと感じた。次は、軽くお酒も呑みたい。
posted by Ken-U at 16:34| Comment(0) | TrackBack(0) | サッカー(国内) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月11日

「エロマンガ島の三人」 異界への旅、その心に刻印を残す

長嶋有著 『エロマンガ島の三人』 (文春文庫)

エロマンガ島で、エロマンガを読む。

eros_manga.jpg表題作以外に、SF、ゴルフ、官能、犯罪を扱う作品が収められていて、長嶋有の小説としては、それぞれ『夕子ちゃんの近道』(過去記事)以上に異色な出来だと感じた。

エロマンガは、南洋に浮かぶ実在する島の名前である。という表題作の前提を知らないまましばらく読み続けた。しかし気づいたとき、そんな名前の島が実在するんだ、珍妙だな。と少し面白がったりはしたけれど、それ以上にどうということはなく、実際、作中においてもその駄洒落は駄洒落であるがゆえにあまり重要な意味づけはされてなくて、男たちが企画で島に持ち込んだエロマンガも、むしろ邪魔もののように、なおざりに扱われてしまう。

南の孤島という非日常の世界。その眩い太陽の下で、あるいは深い森の闇の中で、男三人、心の浄化がされたのかといえばそうでもなく、ただ島の人々の瞳はきらきらとして、星も瞬き、暗いはずの夜空もどこかきらめいて感じられて、たぶん、もうそれだけでよいのだ。その短い滞在で得られた経験は彼らに深い刻印を残し、その生涯になにかしらの、ささやかな影響を与え続けるだろう。男たちは、その記憶を脳裏にしまいこみ、それぞれの日常に戻ってゆく。

表題作のほかによかったのは「青色LED」。殺人の経験はないはずないのに、人殺しにどこか共鳴する自分がいた。あと、やくざな女と溺れるような色情を経験したわけでもないのに「ケージ、アンプル、箱」もよくて、ベランダから抜け出すあの醒めたシーンがなぜか印象に残っている。学生のころ、半裸で押入れに隠れた経験があるからなのだろうか。もちろん、その訪問者はやくざではないのだけれど。
posted by Ken-U at 23:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。